破帽と軍帽

中島欣也 恒文社 1987年

 数々の資料、文献にでてくるのは、当時の高校生たちは芸者をよんで宴会をしていたということ。まあ、この手の話はとかく極端な例が面白おかしく書かれるのが常なのでどこまでそれが一般的だったかはよくわかりません。そんな話のなかに登場するのがいわゆる《半玉》(芸者の見習い)で、高校生と《半玉》を争う相手はゾルと決まっている。旧制高等学校がある都市ぐらいだと、師団だ聯隊だ、と陸軍の司令部がある例が多かったのである。
 ゾルとはゾルダート= Soldat(軍人)、ゲルとかメッチェンとかと同じくドイツ語の高校生用語だ。そして、たいてい「高校生はゾル嫌い」。

 1925年に制定された「陸軍現役将校学校配属令」により官立学校、公立学校には陸軍の現役将校が配属され、かのだらしない高校生も軍事教練をうけることになる。
 新潟高等学校に池田廉二中佐が配属されたのは1933年(昭和8年)。左派の台頭、スト、弾圧を経て疲弊・沈滞するさなかのことだった。
 配属将校と高校生という一風変わった師弟の交流、そこにあるのは誠であり、愛であった。稀有な話だ思う。

《2021/9/10》
おすすめ度 ★★★★☆ 星4個

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