あゝ楼台の花に酔う

西山夘三 筑摩書房 1982年

限りなくノンフィクションに近い、著者曰く《漫画小説》。なんとこれを書き始めたのは三高在学中1929年のことだという。はじめにまとめたのが1941年、さらに加筆修正をして刊行のはこび。自由寮の生活、一高との対抗戦、ボート部の日々、青春を描いてあますことがない。また戦後加筆したと思われる箇所での《後から思えば》に哀切がこもる。
《2020/8》
おすすめ度 ★★★★★ 星5個

あゝ楼台の花に酔う” に対して2件のコメントがあります。

  1. 山チュー より:

    はじめまして。
    作者の西山夘三氏は、京大熊野寮の設計をご担当された西山研の教授でもあります。自由寮(左京区吉田二本松の寄宿舎)は室戸台風により倒壊し、その後吉田寮に移られたらしいですが、そんな方が建築学者として新たな学生寮の設計に関わるというのは不思議なものです。大量に遺された資料は住まいの研究施設にて保全されています。手書きによる部屋詳細図は住まう者への愛着に溢れております。

    1. マルヒ委員 より:

      コメント、ありがとうございます。
      実はこの「参考文献リスト」には『ケンチとすみれ』を掲載しておりますが、リンク先を間違えていました(いまは訂正しました)。
      そこに書いてありますが、『ケンチとすみれ』は高知高等学校南溟寮で出会った男たちの物語でありまして、もともとNHKのドラマになったものをノベライズした作品です。そのNHKドラマは西山卯三氏の『住み方の記』(筑摩叢書)を原案としたもの。(これもすごい本です)
      ということで西山氏が旧制高等学校ファンに残した功績も多大なものがあると思います。

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