ケンチとすみれ
柊和典・著 阪田寛夫・跋 河出書房新社 1994年
高知高等学校南溟寮で出会ったケンチ・牛乳・坊やと、寮の渡り廊下の脇にあった椅子2脚の床屋を営む・おんちゃんと、おんちゃんの娘・すみれの物語。他にももちろんマドンナが登場、また、ケンチらを見守る瀬戸内教授とその妻などもいい味をだしてる。
全編にみなぎる暖かい友情が心地よい。おんちゃんとすみれの土佐弁も素敵。
そもそもはNHKの連続ドラマであった由。1967年10月から68年9月まで47回、毎週1時間とは大河ドラマなみの長さですね。跋を書いている阪田寛夫氏はその脚本家で高知高南溟寮OB。
そして、そもそもNHKの番組プロデューサーがもちこんだ企画の原案は西山夘三氏が書いた『住み方の記』であった。西山夘三氏は『あゝ楼台の花に酔う』を書いた三高OB。
この番組の最初の15回分を素材にして小説化したのが脚本を手助けしていた柊氏ということ。
こうして旧制高等学校の香気あふれる作品ができあがったというわけだ。
《2020/10》
おすすめ度 ★★★★★ 星5個