第二十二夜 春歌
春歌指導係【PG-13】
このページはPG-13です(Parental Guidance Suggested for Children Under 13: 13歳以下の子供は保護者による注意があることが好ましい)。
まさかあなたは、13歳以下ではないでしょうね。
【春歌指導原理】
各階に春歌指導係というのがあった。とはいえ多分に名誉職で、やることといえば新歓期の歌集制作ぐらいだ。ここに掲載したのは83年版というから、マルヒが卒業したその年の新歓期のものである。
制作(ガリ切りから製本までまさに全部やっているだろう)したのは3階のタラコことオーマチ。奥付のなかの《special thanks to ひ.》はマルヒのことである。この前年か、前々年かの《春歌集》をマルヒがつくったと思われる。その時『デカンショ』などは持っていた松本深志の歌集から抜粋して収録している。
俗謡系
★『ガンチャラ節』
♪ガンチャラガンチャラ学校さぼって土手町歩けばよー
♪聖愛のお姉ちゃんが横目でにらむ
♪やりたいな、やりたいな、やりたいやりたいやりたいな
♪聖愛のお姉ちゃんと勉強やりたいな
♪ガンチャラガンチャラ学校さぼって土手町歩けばよー
♪東短のお姉ちゃんが横目でにらむ
♪さしたいな、さしたいな、さしたいさしたいさしたいな
♪東短のお姉ちゃんと将棋をさしたいな
聖愛というのは、弘前にあるミッション系の女子高です。東短というのは、東北女子短期大学ね。
この歌はポピュラーでしょう。マルヒの高校、松本深志にももちろんありました。ガンチャラガンチャラってところは ちんたらまんたら、ということは『チンタラ節』です。深志版では、城山に登ったり、お城にいったりして、聖愛のところはもちろん、ハイ(旧制松本高等女学校=松本蟻ヶ崎高校のこと)になります。
★『昨夜 父ちゃんと寝たときにゃ』
♪ゆうべ父ちゃんと寝たときにゃ
♪変なところに芋がある
♪父ちゃんこの芋 なんの芋?
♪坊や、よく聞け この芋は 坊やをつくった種芋さ
♪ゆうぺ母ちゃんと寝たときにゃ
♪変なところに穴がある
♪母ちゃんこの穴 なんの穴?
♪坊や、よく聞け この穴は 坊やを通したトンネルさ
このうたは最後にこんな歌詞になる。
♪Yesterday I was sleeping with my father
♪There is a potato in the strange place
♪Father, what is this potato?
♪Boy listen to me carefully, that is the potato which makes you!
「ぼおおやあ、よくぅきけ……」というところと、「ぼぉぉい、りっすんとうみー」というところのぼぉぉってところがよく似ていて つい感心してしまう。あと、「that is the potato which makes you」という定冠詞と関係代名詞の使い方にそこはかとない教養を感じる。もちろん、この英訳歌詞があってるかどうかは、在米3年半にすぎなかったマルヒにはよくわからない。
数え歌系
★『ひとつでたほいの』
♪ひとつでたほいのよさほいのほい
♪ひとり娘とやるときにゃ、親の承諾得にゃならぬ
(以下、ふたつ、みっつと続く。)
♪二人娘とやるときにゃ、姉のほうからせにゃならぬ
♪みにくい女とやるときにゃ 顔にハンカチせにゃならぬ
♪よその二階でやるときにゃ 音をたてずにせにゃならぬ
♪いつもの女とやるときにゃ あの手この手でせにゃならぬ
♪むかしの女とやるときにゃ 思いだしだしせにゃならぬ
♪質屋の女とやるときにゃ いれたりだしたりせにゃならぬ
♪八百屋の女とやるときにゃ 青くなるまでせにゃならぬ
♪皇后陛下とやるときにゃ 直立不動でせにゃならぬ
♪尊いお方とやるときにゃ 羽織袴でせにゃならぬ
説明不要の名曲でしょう。これは ほとんどの人が知っていた。歌詞のバリエーションは沢山ありますね。
★『よかチンチン』
♪ひとつ、ひねればひねるほど よかチンチン あぁぁあよかチンチン
(以下ふたつ、みっつと続く)
♪ふればふるほど
♪みればみるほど
♪よじればよじるほど
♪いじればいじるほど
♪むけばむくほど
♪なめればなめるほど
♪やればやるほど
♪こすればこするほど
♪とばせばとばすほど
たいてい、『よかチン』を歌うときは、一升瓶をふたつ持って、踊りながらするんだな。これに対して『まんこ七態』というのもあります。あっけらかんとして、なんだかおかしい。
替え歌系
★『青い山脈』
♪胸もふくらみ毛も生えて お尻も大きくなりました
♪青いパンティを膝まで下げて
♪はやくして はやくしないと ママがくる
♪ママがきましたママがきた わたしも仲間にいれてよね
♪青いズロース膝まで下げて
♪はやくして はやくしないと パパがくる
以下、ババ、ジジ、マゴまできちゃいます。
★『芸者のうた』
♪げいしゃげいしゃ しゅぽしゅぽ しゅぽしゅぽしゅぽぽ
♪ぼくらをのせて しゅぽしゅぽしゅぽぽ
♪はやいぞ はやいぞ 穴のなか つばきもとぶとぶ しおもとぶ
♪はしれはしれはしれ 絶頂だ絶頂だ 楽しいな
これも踊りつきで歌われることが多いですね。もりあがります。
★『女一人』
♪きょおおと いっぱつ せんぜんえん
ってこれだけかい。
CMソング系
★『ヤマハメイト』
♪のってるのってるのってるのってるうちの父ちゃん
♪のってるのってるのってるのってるうちの母ちゃん
♪母ちゃんにのれば やすあがり
原曲のCMソングはいしだあゆみが歌ってます。
★『日立のうた』
♪きみのリンゴは大きいね ぼくのバナナはちょいと小さいが
♪いれてよじれば汁がでる これぞ日立の電気ジューサ
二番は確か、日立のエレベータ。家電品からエレベータまでさすがに日立である。よくわからんが。
リクエストがあれば、他の曲もご紹介します。。。
なお、作品中には今日では差別的表現とみなされるものも含まれていますが、資料的価値にもとずきそのまま掲載しました。ご了承ください。
(July 2, 2001)
◆旧サイトではこのページの語句への検索が多かったという人気ページ。というか《春歌》というものをインターネット界隈で取り上げているサイトが少ないということだと思われます。《春歌》はもはや《しゅんか》ではなく《はるうた》なんでしょう。
◆とはいえ、YouTubeではここにあげたいくつかの春歌を聞くことができます。リンクは張りませんでしたので気になる方はどうぞ探してみてください。
◆オーマチが書いている奥付の中に『人間には時代と環境の変化に応じた新しい神話が必要だ(SRD)』というフレーズ。SRDとはたぶんSF作家のサミュエル・R・ディレイニー。オーマチは、マルヒと同じく、SFマニアでもありました。
◆チンタラ節・松本深志版の《ハイ》のこと。旧制の教育制度においては、男子の旧制中学(=middle School)と女子の高等女学校(=high school)がいわば同格。旧制松本中学では旧制松本高女のことを《ハイ》と呼んでいたそうな。その松本高女を引き継いだ松本蟻ヶ崎高校は1976年まで女子校で、その頃も、蟻ヶ崎高校を《ハイ》と呼ぶことがあった。ちなみに松本駅から普通に深志高への道をたどれば、その途中に蟻ヶ崎高の校舎がある。しかしながら、旧制時代、松本中学の生徒がその道を通ることは暗黙のルールで禁じられており、破った場合は制裁が待っていたとか。称して《ハイ前通過罪》という。
《2020/10/3》
“第二十二夜 春歌” に対して1件のコメントがあります。
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私、「声に出して歌おう 日本の春歌」の著者です。クラウドファンディングの「レディーフオ──」で「落研・学園春歌考」を検索していただけませんか。「チンタラ節」や「ツンツン節」等々、みんな出てきます。多くの春歌ファンに覗いていただけると有難いです。